雪まつりを楽しむ際にちょっと考えて欲しいこと 〜さっぽろ雪まつり大通り公園会場〜
1月のさっぽろ雪まつり大通り会場では、雪まつりの目玉とも言える大雪像製作の真っ只中です。


(取材協力:日本氷彫刻会札幌支部氷彫会 2007年1月26日撮影)
こちらの大氷像では、角氷ひとつ当たり約100kgあるため、写真のように重機を使って下から順に積み上げ作業が行われます。トラックで運ばれた氷を順に重機で吊り上げ、組んでおいた足場で待機する人が氷一つ一つを受け取り、適切な場所においていくという作業は、約3週間もかかるそうです。そのようにして積み上げられていく氷は、高さが7,8メートルになるまで積み上げられ、合計すると約1000個の氷が使用されるそうです。
使われる氷の量について計算して見ましょう。簡単ですね。
100kg×1000個=100000kg
1000kgは1トンなので、
100000kg=100トン
この氷像1基に使われている氷の量は、約100トンとなります。
100トンもの氷をすべて人の手作業で行うことを考えると、この重機を使うことによって、いかに効率的に作業が進められているのかが分かります。
1950年に第1回の雪まつりが行われた時には、市内の中高生による雪像6基で始まりました。このころ雪像はすべて人の手で作られていました。時がたつにつれて、自動車やトラックなど、人力よりもはるかに効率的に作業を進めるための様々な機械が使われるようになりました。
このように科学技術は、私たちの暮らしを豊かに、便利にしてくれます。しかし一方で、科学技術に支えられた私たちの社会の発展は、地球温暖化にも深刻な影響を与えています。
以下のグラフを見てください。

(気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/index.html のデータを基に作成)
日最低気温とは、ある一日の中で最も低い気温を指します。
ここでは、1886年から2006年の札幌における2月の日最低気温の平均をグラフにしています。
グラフを全体的に眺めてみると、今から約120年前の1886年からだんだんと最低気温が上昇していることがいえます。ここ数年でも、雪まつり期間中の雪像が暖冬のために解けてしまうというニュースも聞かれます。このように札幌における日最低気温が上昇している大きな理由として、「都市化」の進行も考えられています。
今年の雪まつり開催期間中の気温が心配になりますね。
そこで、札幌管区気象台の三浦さんにお話を聞いてみました。
北海道地方の1ヶ月予報が使えるということです。
こちらが1月19日に発表された1ヶ月予報です。(予報期間1月20日から2月19日)

(http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/101_00.htmlの解説資料PDFより引用)
グラフの予報期間の2月6〜12日頃の線は、気温平年差の+2度の線辺りにあります。これによると、雪まつり開催期間である2月6日(火)〜12日(月)曜日頃の札幌の気温は、平年に比べ2度くらい高めになると予想されていることが分かります。(濃いグレーと薄いグレーは、予想される幅です。予想した日時から遠くなるほど予想が難しいので、グレーの幅が広くなっています。)
雪まつりはそれ自体が楽しいだけでなく、北海道の冬の重要な観光資源でもあります。観光資源の豊かなオーストラリアでは、「エコ・ツーリズム」という考え方が浸透し、観光資源は現地に住む人々の財産であるとされ、観光業界が率先してゴミ問題などの自然破壊を食い止めようと活動しています。
しかし、地球温暖化は「エコ・ツーリズム」のように一部の人々の努力だけで解決できることではありません。私たちがいつまでも雪まつりを楽しめるようにするにはどうしたらよいか、地球人として、市民一人ひとりが無関心でいてはいけないと感じます。将来、もしかしたら、「科学技術」が温暖化を解決する日が来るかもしれません。少なくともその日が来るまでは、何が原因かを究明すると同時に解決策を模索していく必要があるし、地球温暖化の要因となる可能性のあるものに対しては、慎重な態度を持ち続けることが必要ではないでしょうか。
(文・写真 伊藤紀代)
【参考】
社団法人札幌観光協会 さっぽろ雪まつり資料館「さっぽろ雪まつり年表」
気象庁 気象観測(電子閲覧室)http://www.data.kishou.go.jp/index.htm
【アクセス】
【謝辞】
札幌管区気象台の三浦様、そして日本氷彫刻会札幌支部氷彫会の皆様、ご協力ありがとうございました。

