世界ノルディック大会に向けて 〜札幌ウインタースポーツミュージアム〜
冬のオリンピックで注目を浴びたウインタースポーツ。スポーツには、プレ−する楽しみのほか観戦する楽しみがあります。この日の一瞬にかける選手に多くの人々は感動を覚えるのではないでしょうか。スリルのあるスキージャンプを、大倉山にあるウインタースポーツミュージアムでは、バーチャル体験することができます。
- 正面玄関で皆さんを出迎える札幌大会マスコットキャラクターノルッキー君 (撮影:2006/3/3)
- 円山球場スタンドから望む大倉山ジャンプ競技場 (撮影:2006/3/7)
館内には、スキーの歴史やオリンピック選手の最新ニュース、ジャンプの風洞実験の様子*1などが紹介されています。
ここの一番の人気は、スキージャンプのバーチャル体験です。
- ジャンプシミュレーターにはいっての体験 (撮影:2005/11/15)
- 飛び出しのタイミングから飛距離を割り出す体験 (撮影:2005/11/15)
選手が踏み切り地点からとびだす瞬間は、0.03秒ほど、踏み切るときのスピードは、時速90キロ前後といわれています。
瞬時の正確な判断が要求され、その時のスキーの角度のタイミングは、後の体のバランスのとり方に影響します。
札幌の少年団は、この空中感覚を荒井山ジャンプ競技場で練習しています。
ちなみに海に面した小樽のジャンプ場で練習する少年団の選手の目に広がるのは、果てしない海。毎日が、海に向かって落ちていく恐怖心との戦いとか。そのような小さい時からのたゆまぬ努力が、船木選手のような強い選手を育てるのですね。
- 展望台から望むジャンプ台。目もくらむ最大傾斜角度37度の大倉山ジャンプ競技場 (撮影:2006/3/7)
- Ⅴ字飛行
かつては、クラシックスタイルという飛び方が主でしたが、今では、より多くの風を受け揚力を増すV字スタイルに変わりました。
体の両脇に位置した板が、翼のような役目をして断面積を増し、揚力が増すのです。スキーは、7〜10度に開くのがベスト。飛行方向に対する角度は、30度前後で、スキー上面にできるの空気の渦を最小限に減らすフォームは、体とスキーがより平行に近い状態とか。
後は、重力の問題で、踏み切りの筋力を落とさずに、いかに体重を軽くするかが問題なのだそうです。飛びすぎても競技のやり直しになるスキージャンプ。日々ルールが更新される競技会で選手は、ギリギリまでに絞りこんだ体重調整におわれ、大変なのですね。
さて、ジャンプ競技は冬ばかりではありません。雪のない夏にも、サマージャンプ大会が行われます。
スタートからテイクオフまでのアプローチにはスノーチャイナを敷いた滑走路。着地点にはラーメンマットを敷き、その上からに潅水し、摩擦係数を減らして飛びます。着用しているウエアは年中変わりません。しかし、飛んだ瞬間は、何よりも鳥になった気持ちでしょう。
- 大倉山ジャンプ競技場 展望台案内板。最上部中央の白い縦ラインが、スノーチャイナの滑走路 (撮影:2006/3/3)
雪や風の天候に左右されながらのジャンプやスキーのスリル。精神力や表現力でひとを魅了するスケート。新しい競技もみのがせません。
ミュージアム玄関入り口には、ユーモラスなスキージャンプペアの紹介、北海道を代表するオリンピック選手の出身マップ、人気のカーリングの話題などその時々のニュースが満載です。
そして来るべき2007年ノルディクスキー世界選手権大会*2が開催されるキャラクターのノルッキー君も。
いろいろな楽しみ方のある冬のスポーツ。「日本では、楽しみ方がまだ娯楽としての要素が強い。海外の様に広く市民に文化としてとりいれられる様になることが夢」と研究員の山谷さんはおっしゃっていました。
- スキーの神様ウル(撮影:2005/11/15)
スキーの神様と勝利の女神様、微笑みをお願いします。
(文・撮影・図:北守敦子) Update:2006/3/11 ver.1
【公式サイト】
【住所】
- 札幌市中央区宮の森1274番地 (大倉山ジャンプ競技場敷地内)
- TEL (011)631-2000
(年中無休・入館料大人600円)
【アクセス方法】
【取材協力】
【参考文献】
- 『TV観戦必携 ジャンプが10倍楽しめる観戦ガイドブック』 古野嵩俊著