豊平川の鮭



気持ちよく晴れた日には、
豊平川沿いのサイクリングロードで自転車を走らせてみるのも素敵です。

  • 南大橋からの風景 (撮影:2005/10/26)


自転車散歩の途中で、サケのライフサイクルの説明書きを発見しました。

  • サケの看板 (撮影:2005/10/26 クリックで拡大できます)

ここ豊平川ではサケが生まれ、海からまたサケが帰ってきます。
3年半の、ベーリング海やアラスカ湾をめぐる回遊の旅を終え、
子供を作るためもとの川に戻ってくるサケは、最初に生まれた数のたったの3%。
サケの遡上は琴似発寒川でも観察することができるそうです。


どうしてサケはこんなにハードな生涯を送るようになったのでしょうか?


ヒメマス(北海道ではチップとも呼ばれています)、という淡水魚がいます。
実はこの魚は、途中までベニザケと同じ魚です。
同じ稚魚のうち、川に残留するのがマス、海に下るのがサケというわけです。
他にもヤマメ、アマゴ、エゾイワナのうち海に下るものは、
それぞれ、サクラマスサツキマス、アメマス、となります。


1億年前のサケの祖先は、マスと同じように川で一生を過ごす淡水魚でした。
餌を求めてプランクトンなどの栄養が豊富に生息する海へと向かうようになり、
産卵は外敵の少ない故郷の川で、
と現在のように進化していったと考えられています。


ここで気になるのが、淡水生物と海水生物の違い。
水には浸透圧といって、濃度を同じにしようとする働きがあります。
つまり、水は濃度の薄いところから濃いところへ移動しようとします。
海水は魚の体液よりも濃度が濃いので、
淡水で暮らしていた魚を急に海水に入れると、体液が奪われ死んでしまいます。
これに対し、サケは塩類排出細胞を発達させてエラから塩分を排出し、
海水と体内のバランスを保持できるようになったのでした。


もうひとつ気になるのが、マスとサケの肉色の違い。
マスは白身魚ですが、サケの身はピンク色をしています。
この理由は、サケが海でオキアミやエビを食べるからです。
オキアミやエビに含まれる赤い色素(アスキタサンチン)が身に沈着し、
白身がピンクに変わるのです。
イクラが赤い色をしているのも、このアスキタサンチンのせいです。
フラミンゴの羽のピンク色も、オキアミの色素が沈着したものです。


南大橋の欄干にサケのオブジェがありました。
今日の夕飯はサケで決まりですね。

  • 南大橋のサケ (撮影:2005/10/26)

(文・写真・イラスト タナカマイ)最終更新:2006/3/4 ver.1.1


【参考資料】

  1. テレビ朝日たけしの万物創世紀』“サケ〜未来への伝言”(1995/12/5放送)
  2. 『図解フォーカス総合生物』太田次郎 啓林館
  3. フジクリーン工業株式会社「水の話」(web)