酵母もリサイクル 〜サッポロビール博物館〜
東区苗穂のサッポロビール園内にあるサッポロビール博物館は、
日本で唯一の、ビールの歴史と科学を紹介する博物館です。
- ビール博物館正面 (撮影:2005/10/16)
赤レンガの建物は、明治時代に建造された札幌麦酒の旧製麦所。
趣ある館内には、昔実際に使われていた釜やタンクが展示されています。
博物館の展示で詳しく見ることができますが、
ビールは主に3つのプロセスで作られます。
①製麦:原料のオオムギを発芽させ、焙って乾燥する。
②仕込み:オオムギに糖を作らせ、ホップを入れて苦味を加える。
③発酵:酵母(コウボ)を加えて糖を発酵させる。
菌は、食べ物の中の糖などを分解して特定の物質を作ります。
その物質によって食べ物が食べられなくなってしまうことを
「腐敗」といいます。
(食べられなくなる→風味が悪くなる、おなかをこわす原因となる)
逆に、作った物質が人に有益な場合、これを「発酵」と呼びます。
酵母というのはもともと、「発酵のもと」という意味。
酵母も菌の一種類で、昔からパンやお酒を作るのに使われています。
ビールのうまみを作ってくれるのはこの酵母です。
しかし、生きた酵母をビールに入れたままにしておくと、
酵母が酸などを作りすぎてビールが酸っぱくなってしまいます。
そこで、発酵が十分に終わったところで、酵母をろ過して取り除きます。
- ビール博物館、ビールの製法に関する展示 (撮影:2005/10/16撮影)
では除去された酵母はそのまま捨てられてしまうのでしょうか?
サッポロビール工場では、除去した酵母を回収し、乾燥して
お菓子や健康食品の原料として使っています。
サッポロビール博物館のビール試飲コーナー(ソフトドリンクもあり)では
酵母の入ったサッポロビヤクラッカーをおつまみとして販売しています。
クラッカーを作っている(株)サッポロエージェンシーによると、
ビールの酵母は独特のほろ苦さを与えてくれるのだそうです。
酵母には、ビタミンB群や食物繊維などの栄養が入っているので
健康効果も期待しているそうです。
酵母にもいろいろな種類があって、酵母の種類や使い方によりビールの味も違ってきます。
ビールの製造者はおいしいビールを作るため日々研究を続けています。
サッポロビヤクラッカーはビールが進む進む。
かっこいいお兄さんが注いでくれるおいしいビールを飲みながら
筆者はビール作りの奥深さにほろ酔ったのでした。
- ビール博物館試飲所 (撮影:2005/10/16)
(写真・文・イラスト タナカマイ)最終更新:2006/3/4 ver.1.1
【公式サイト】
【住所】
- 東区北7条東9丁目 サッポロビール園内
サッポロビール園となりArioまでは、札幌駅から直通バスが出ています
【参考資料】
- 『応用微生物学』高尾彰一 1996 文永堂出版
【取材協力】