1/f の魅力 樹木園 〜森林総合研究所北海道支所〜
健康ブームといわれる今日、ハイキングや森林浴は、人気です。札幌駅から車で南へ国道36号線を30分ほど走ると広大な北海道農業試験場や自然林が広がっています。その奥に森林総合研究所北海道支所の樹木園があります。
ここは森林への理解を深めてもらうため、一般市民に一年を通して開放されています。6ヘクタールの園内には、国内外あわせて327種の松やトウヒ、潅木などさまざまな樹木が植えられ、四季を通じて人々の目を楽しませています。
- 樹木園入り口 (撮影:2005/12/13)
散策やハイキングとここでの楽しみ方はさまざまです。
園内は、実験林や広大な西岡の自然林に囲まれていることもあり松やヒノキのすがすがしい香りに満ちています。
- 野鳥の飛び交う松林 (撮影:2005/12/13)
- フィールドサイン エゾリスの足あと (撮影:2005/12/13)
最近、森林浴の人間に与える効果についての研究*1が進んでいます。
森の中で、すがすがしいと感じるのは、植物から発散される
フィトンチッド*2の効果です。
- 外国産種松林 (撮影:2005/12/13)
そして、心地よく耳を楽しませるのは、小鳥のさえずり、さらさらと風にそよぐ葉音、静かな小川のせせらぎの音ではないでしょうか。
自然の心地よく流れる音を振動数(周波数Hz)fと音響パワー(dB)の時間的な変化で分析すると1/fという規則性があるのです。
1/fのfとは振動数(周波数)のことです。ゆらぎはいろいろな周波数を持った調和成分で分解することができ、1/fゆらぎは、周波数とパワーが逆比例した直線上にあらわされます。
自然界の音の中でランダムでも単調でもない特別な性質のゆらぎには、あるパターンがあるのです。
規則的なリズムを打っている様に見える健康な人間の脈拍も心拍周期の数百回という時間軸で見るとゆらぎがあり、これもきれいな1/fのパターンを示すといわれています。この時間とともに変化する不規則な変動*3のなかで快適さをかんじるのは自然界や、生命界に深いつながりのある1/fのゆらぎ効果なのです。
目にやさしい緑の色、樹木からの光合成による新鮮な空気は体をリフレッシュさせます。
さまざまな効果が私たちをつつみます。
- 風にそよぐムラサキシキブ (撮影:2005/10/18)
札幌のちょっと身近な都会の森、樹木園に足を運んでみませんか。
園内の樹木館*4には、林業の歴史、原始の森の解説などが展示されています。
(文・撮影:北守敦子) Update:2006/1/13 ver.1
【公式サイト】
【住所】
- 札幌市豊平区羊ケ丘7番地
【アクセス方法】
【参考資料】
- 『樹木館』 森林総合研究所北海道支所
- 『ゆらぎの発想―1/fゆらぎの謎にせまる (NHKライブラリー)』 武者利光 NHK出版 1998
- 林業科学技術振興所 (web)
- 株式会社日本メディックス 1/fゆらぎ (web)
- 森林総合研究所 プレスリリース (web)
- 森のお散歩 〜森林浴〜 (web)
*1:【森林浴についての研究】森林風景などの映像刺激が人体に及ぼす効果を脳前頭野活動、心拍のゆらぎを測定して効果を確かめる研究。唾液中のコルチゾールやアミラーゼ、脳活動を指標として測定して効果を確かめる。
*2:【フィットンチッド】ロシア語で植物から放散されて周囲の微生物などを殺す物質の意。台湾ヒノキ、ヒバからは殺菌作用のあるヒノキチオール。松類からは、去痰、利尿作用のあるテレピン油。ハッカからは、鎮痛、清涼作用のあるメントール。
*3:【1/fの種類】Ⅰ)まったくランダムなパターン(例:でたらめに弾いているピアノの音 1/f0). Ⅱ) 厳密に一定の変化のパターン (例:一定の間隔でたたく単調なピアノの音 1/f2). Ⅲ) ランダムでも単調ない特別な性質をもってゆらぐパターン (1/f)
*4:【樹木館】開館期間4月〜10月