誰でもまいてよい滑り止めの砂

札幌の道路沿いにはどこにでも、滑り止めの砂が入っている箱がある。この砂は道路がつるつるに凍結したときにまくもので、誰がまいてもよいことになっている。

  • 道路沿いの砂箱

冬の札幌は氷点下であることが多いが、日光などで道路の温度が上がることがある。道路の雪が一度融けてそのあとに気温が下がると、凍って平らでつるつるな道路になってしまう。(下図) つるつるな道路はきわめて滑りやすいため、摩擦力を大きくするために砂をまくのである。

  • 凍結してつるつるな道路の断面


 ところで、なぜ氷上に砂をまくと滑りにくくなるのであろうか。乾いたアスファルトの上に砂があると、普通は滑りやすくなる。同じ砂でも氷上とアスファルト上では反対の作用を持つことになる。
 滑りやすくなる理由は、アスファルトの上の砂が転がるためである。(下図) この場合さらに、タイヤや靴底のゴムの接地面積も減ってしまうので、より滑りやすくなってしまう。

  • 道路に砂があると滑りやすくなる理由


 それでは氷上ではどうかというと、タイヤや靴底のゴムで砂が下に押し付けられ、砂が氷を削る状態になる。(下図) 砂は氷の上を滑る事ができないため、抵抗になり抵抗が大きくなるものである。

  • 氷上に砂があると滑りにくくなる理由


 ところで、つるつるな道路ができた場合、普段は市が滑り止めをまくことになっている。しかし、つるつるな道路はいつどこで現れるかが予想しにくく、また同時に色々なところで現れたりするので、市も一気には対応できない。砂の入った箱がどこにでもあるのは、つるつるな道路をいつでも安全に通行できるようにするため、だれが砂をまいてもよいようになっているためである。


「転ばないコツ2005」
http://tsurutsuru.jp/index.html

札幌開発建設部
http://www.sp.hkd.mlit.go.jp/

(撮影・文・図 宮下 友則) UPDATE 2006/1/8 Ver 1.0