頑強な三角形 〜札幌 テレビ塔〜
- 札幌テレビ塔 (撮影:2005/11/12)
「いつか、どこかで見た風景」として、札幌と名古屋はテレビ塔と大通公園界隈が、よく似ていると言われます。札幌は大通公園としての歴史が古く、公園の一角にテレビ塔を建てました。名古屋は逆に、テレビ塔の周辺を公園として整備したのです。
名古屋のテレビ塔・札幌のテレビ塔・東京タワーは、内藤多仲さんが構造設計した展望台つきの塔で、形が似ている言わば三兄弟です。内藤さんは、この他に大阪の通天閣など、日本の各地の展望台つき鉄塔の構造設計をしています。*1
- さっぽろテレビ塔よりの展望 東・西・南・北(撮影:2005/12/04)
三角形が図形として決まる条件の一つに「三辺」があります。3つの辺の長さが決まれば、変形せずに、三角形として一つの形に決まる性質を意味しています。
四角形は、四辺が決まっても平行四辺形等に変形できます。そこで、三角形を組み合わせることによって、四角形にも変形しないと言う性質を持たせる事ができるのです。
日本は地震が多い国ですが、トラス【三角形を基本とした構造物の骨組み】により、地震などで起きる押されたり、引っ張られたりする力を、集中しないよう、散らしたり軽減したりして、塔が倒れないような構造*2にしているのです。
- 構造形式の一つ「トラス」のもととなる三角形のイメージ
2006年は、札幌のテレビ塔が建ってから50年の記念のトシです。
- 札幌テレビ塔 (撮影:2005/11/26)
【公式サイト】
http://www.tv-tower.co.jp
- パリのエッフェル塔 (撮影:2001/10/02)
- エッフェル塔の第2展望台より上を見上げる (撮影:1990/03/29)
エッフェル塔もトラスがいっぱいですね。(撮影・文:荒瀬 美由紀) 最終更新:2006/02/16 Ver 1.0
*1:【内藤多仲(ないとうたちゅう)さん】日本における構造設計の父、塔博士とも言われ、初期のテレビ塔の設計は、ほとんど内藤さんが行ったものです。札幌のテレビ塔は、147.2m。東京タワーは、エッフェル塔を抜く333mの高さで、自立鉄塔として世界一だそうです。
*2:【構造形式】建物の重さや地震の力などを伝える方法を、構造形式と呼ぴ、主にラーメン(ドイツ語(Rahmen))、トラス(英語(Truss))、壁式の三種類の構造が多く使われます。厳密に言うと、テレビ塔の構造形式は、結合がピン結合でないためトラスと言うより、曲げモーメントがかかるラーメンではないか?だそうです。誰ですか?別のことを考えているのは。札幌ラーメンのラーメンは、延ばす麺の意味で「拉麺」。ラーメン構造のラーメンは「額縁」。全く別物ですよ。